権力者の横暴
どうも今どきの権力者は、自分の権益と財産を守ることを第一優先にしているのではないか?・・・・と感じていたが、なんと、それは歴史の法則だと主張している人がいた。
中山治心理学者が書いている。
<権力者は共産主義者であれ、自由主義者であれ、国家社会主義者であれ、天皇愛国主義者であれ、口先ではみな立派な事を言う。自由だの、豊かさだの、平和だの、平等だの、民族の誇りだの、愛国だの言うのである。そして、それを脅かす敵を国内や国外に作り出し、庶民をけしかける。「革命の敵」「自由の敵」「民族の敵」というレッテルを貼って、国内外に敵を作り出し、流血を引き起こすのだ。これにより自分たちの特権を守り、そこから利益を得る。これが権力者のずるさである。>
なるほど、世界の権力者はほとんどこれに当てはまる。当てはまらない人を捜すのに苦労するほどだ。
日本だって、権力者の横暴はすごいものだ。自分に都合の悪いことは、秘密保護法により公表できないと主張。また、今度はテロ防止だからと銘打って、広範囲に使える共謀罪を作ろうとしている。権力者にはむかうものは有無を言わせず検挙できるようにしたい。「原発反対」や、「平和について考える」「核兵器反対」「基地問題」などのテーマで集会を計画したら、必ずにらまれるようになる。
それくらいにしないと、日本の安全性は守れないという御用学者や、御用評論家がいる。そして、それに賛同する国民も少なくないようだ。まだあの戦争の悲惨さを自覚していない人が多いのか、それとも戦争が好きなのか?
生まれいずる子どもたち
先日、電車内にいる時だった。
色の白い女性が、おなかを前に突き出すようにして乗ってきた。
私の横に座っていた女子高生がすかさず席をゆずった。
カラシ色のスカートの端が少し私の膝にかかり、彼女は小さな声で「すみません」と言った。ひとみのきれいな人だった。
私は遠慮がちにその腹部に目が流れたが、すぐにそらした。(なんといったって、自称紳士だもの)
しかし、頭の中では人の生の不思議を想った。
やがて胎児は、泣きながら生まれてくるのだろうが、それは胎児の意思でこの世に来たのだろうか・・・・イヤ、違う。
生まれるということは受身なんだ。
I was born. と言うではないか。(受動態)
彼(彼女)は、生まれさせられたんだ。
良く言えば、「命をあたえてくれた」ということにもなるが。
しばらくは両親の愛にはぐくまれて育つだろうが、いずれ自分の力で生きていかねばならない。
この荒涼とした人間の社会を・・・・幸運を祈る。
見てはいけないものを見てしまった。
先日、沖縄行の機内で、見てはいけないものを見てしまった。
大気を切り開いていくジェットエンジンの重くて単調な音、それはついつい眠気を誘う。
ウトウトしてふと目を覚ますと、横並びに座っている若い女性の二人組、ごそごそとバッグからなにかを取り出し、テーブルに並べ始めた。
小さな箱に入ったチューブや万年筆のようなものや筆、そして小さなパレット、中には4色ほどの固形絵具が入っている。
色は薄い青とかベージュ、黒っぽいものだ。
水彩画でも描くのかな、と思ったがどうも水は使わないみたいだ。
すると、棒状のパステルの色棒を出してきて、小箱のふたについている鏡を見ながら、顔のあたりに塗っているようだ。
なにぶん真横にいるのではっきり見えない。
まさか顔を回して改めて見るのは、女性に無関心な私にはできないことだ。
そのあたりの礼儀はわきまえているつもりだ。
ただ右目の端ぎりぎりの視界に、そのような動作が感じられる。
すると、今度は墨汁の入った筒状のものを出した。
ふたを開けた瞬間、気圧の関係か黒い液が飛び出て、白魚のような手に点々と黒い汁が散った。
二人は悲鳴をあげながら、あわてて拭いていた。
筒の先には、煙突掃除道具を小型化したゲジゲジのブラシがついていて、どうもまつげをいじくっているらしい。
おお、今度はバッグから出してきたのはカラオケ用のマイクではないか。
いや、よく見ると先端の丸い部分はやわらかい毛のようだ。
なるほど、これでもって総仕上げをするということか。
いつの間にか私は眠りに落ちた。
気が付いたときは、ちょうど機内サービスが回ってきた時だった。
先ほどの情景は、高度1万メートルの成層圏で起きた白昼夢か幻か・・・?